「共依存」のメカニズムとそこから抜け出るカギ

【真のパートナーシップ】に基づいた関係は、私たちの多くが望むことですね。でも、【真のパートナーシップ】って、一体何でしょう?そして、【真のパートナーシップ】に基づく関係を築く上で、何が必要なのでしょう?ここでは【真のパートナーシップ】と反対の状態である【共依存】について理解を深め、そこから抜け出るカギについてお話したいと思います。

1.はじめに

「パートナーシップ」とは、「対等の関係、互いにポジティブな影響をもたらし合える関係」だと定義してもいいかと思います。

ビジネスの領域では、誰とどのような形でパートナーシップを構築するかということは、ビジネスの命運にもかかってくるくらい重要事項だと言えますね。

同じように、人生を共にするパートナーとの関係は、私たちの人生に大きな影響を及ぼします。それと同時に、親密な関係の中に、様々な課題が鏡のように立ち現れてくるので、そこで浮上する課題は、私たちの気づきやスピリチュアルな成長の機会を与えてくれます。

関係の中で浮上する問題や課題に振り回されるのではなく、それが自分にどんな学びの機会を与えているだろう?と考えることで、そこから抜け出て次のステージに進むプロセスが早まります。

家族やパートナーといった親密な関係の中で、よく課題になることは、互いに依存しあって、それぞれが自立して成長していくことができないでいる状態にあることです。【共依存】ですね。

ここでは、共依存関係ではなく、私たちの誰もが望んでいる関係、【真のパートナーシップ】に基づく関係を築く上で、何が必要なのかということを考えたいと思います。少し長くなりますが、ぜひ最後までお付き合いください。

2.「共依存」関係とは?

まず、【真のパートナーシップ】って、一体何でしょう?

私は、それは、【多様な他者をありのまま受けとめ、生かし合う関係】 だと思っています。

でも、抽象的でピンと来ない~ と思われるかもしれませんね。ピンと来ない時は、その反対の状態を考えると分かりやすいです。

家族やライフパートナーのような親密な人間関係では、その反対は、【共依存】です。

なので、まず、共依存について、ある知り合いのカップル、AさんとB氏の例を基に考えたいと思います。

今はそれぞれ自立して生活しながら、親密な関係を維持して、自分達にとっての幸せな在り方を構築しておられるお二人ですが、そこに至る迄には、【共依存のアリ地獄】から抜け出る為のかなりのプロセスがあったようです。

1)共依存の具体例

B氏の状態

B氏は、過去、長い間、母親と共依存の関係にありました。

まず、その状態がどのように生まれたか、そこからお話しますね。

B氏は、幼い時から、寂しい想いを抱いて育ちました。
母親は仕事で忙しい上に、夫との関係がうまく行かず、B氏が赤ちゃんの頃から、B氏に意識を十分向けることができずにいました。

大人になったB氏は、自分が「無視されている」と感じたり、「見捨てられる」と感じると、尋常でない反応をしていたようです。

例えば、車を運転していて、彼の車の前に別の車が横入りしたりすると、「怒り」が爆発するのです。B氏の潜在意識の奥には、母親に「見捨てられた」記憶が刻まれていて、「見捨てられる」ことへの怖れ、不安が、彼の無意識の反応や行動を規定していたのです。

彼は若い時、自殺願望があり、引っ込み思案で、自分に全く自信がなかったと言います。

B氏の母親

B氏の裕福な母親は、B氏の兄、長男を失い、その後、その悲しみを埋め合わせる為にB氏に心の拠り所を求めました。

自信がなく、引っ込み思案でウツ気味の若いB氏に対して、大人の男性として尊重し尊敬するというよりも、そんなB氏の「弱さ」に意識を向けて、その「弱さをサポート」せんと、何十年にもわたって経済的なサポートを全面的に行いました。

しかし、母親は、それが彼が自分の足で歩いて、自信をつけていく機会を奪っていることには気づいていなかったのです。全面的に経済的な援助をすると同時に、彼の母親は、別れた夫の代わりのパートナーのような存在としてB氏を扱いました。

ここに【完璧な共依存関係】のできあがりです。

こうして、B氏は、母親と完璧に同一化して、考え方や、価値観、マインドが母親と1つになってしまっていました。

Aさんと出会った頃はB氏はまだそんな状態だったのです。

・・・

B氏は、Aさんと出会う前は、交際相手が母親との関係を指摘しようとするやいなや、バッサリ切ってしまっていたとのことでした。自分の心の奥の怖れに向き合うことを拒否していたのです。

Aさんは、B氏の内に持つ素晴らしい資質を観て、その資質を表現するように彼を励ましました。

Aさんと出会い、彼女との関係を通して、彼の内の強さがどんどん外に現れるようになって行きました。

Aさんの課題:経済的自立

Aさんにとっては、B氏と過ごす時間はとても楽しく、自分の為に時間を過ごすこと自体がとても新鮮で、 それ自体が癒しでした。

彼女の特異な状況の為に、長く癒されていなかった部分、過去求めても得られなかったこと、、「自分の為に人生を楽しむ」ということが、B氏との関係で初めて可能になり、癒しが起こっていたのです。

ここでは、互いにとっての「癒し」の関係が成り立っていました。

・・・

しかし、Aさんが長年勤めた会社が倒産し、貯金を切り崩して生活する状態になり、困難に直面したときに、様々な課題が浮上してきました。

その課題とは、

  • B氏がいかに母親との共依存から抜け出て、自立するかということと、
  • Aさん自身も、自分の経済的な困難を克服して、経済的に自立するということ

この2点に集約できます。

Aさんが困難に直面した時、B氏には、彼女が困難を克服できるようにサポートできるだけの余裕は、ほとんどなかったのです。

逆にこれは、Aさんが経済的に自立するチカラになったとも言えます。

2)【共依存】から抜け出る

さて、ここで、B氏とAさんそれぞれにとって、

  • どんな選択肢があって、
  • どんな選択をすることが互いにとってベストなのか、
  • そして、それはどうやって可能なのか。

というお話しになります。

B氏の状態

B氏は、母親との関係の問題に気づき、それを変えたいと思うようになっていました。

まず、母親に対する見方が変わりました。

そして、怒りの抑圧、怖れの抑圧状態から

⇒気づき

⇒怖れの克服

⇒母親への怒りの爆発

⇒距離を置く

というプロセスを経ます。

そのようなプロセスを経ても、彼には、自分自身の怖れや自信のなさが潜在意識の深いレベルに刻印されていて、なかなか思うように行動に移せない状態が続きました。彼は、そんな自分がまた価値のない人間のように感じられ、その気持ちを押し隠す為に、逆にAさんに怒りをぶつけてしまったりしていたようです。

Aさんの選択

一方、Aさんは、B氏の問題に気づき、その状態から抜け出るように励ましたりして来ましたが、自分が大変な状況になった時に具体的にチカラになってくれることのないB氏に不満を持ち始めます。

言葉では「愛してる」と言いながら、実態が伴わないと感じ始めます。Aさんは、本当はB氏と一緒に生活したかったのです。

ここでのAさんの選択肢は、不満はあるけれどB氏との関係を続けて、なんとかより良い関係を作っていけるように努力すること。

初めの段階でAさんが選んだのは、この道でした。

しかし・・・

キャリアになるような仕事がなかなか見つからず、体調も崩していたのに、無理してとりあえずの仕事に就き、そこで、肉体的なしんどさに加えて、新しい職場の人間関係で、またひどいストレスを抱え始めていました。

自分がこんな状況なのに、裕福なB氏が、何もサポートしてくれないのはなぜなのか、全く理解できず、非難する気持ちも出始めていました。

今や、Aさんの選択肢は、

  • B氏と関係を続けて一緒に住んでB氏からのコミットメントを期待していくか。
  • B氏と関係を継続しながらB氏に期待せず、ちょっと距離を置きながら、人生を立て直して行くか。
  • B氏と別れて、自分一人で自分自身の人生を立て直して行くか。

大体これら三つの内のどれかになって来ました。。

結局Aさんは、B氏と別れて、自分一人で自分の人生を立て直して行く途を選択しました。

「B氏は、自分にとって楽しいことは私と一緒に過ごすけれど、いざ私がしんどい状況になったら手を差し伸べてくれるわけではない。でも、一緒にいると期待してしまうし喧嘩になることもあったので、勇気を出して、別れることにした」

ということです。

「一人になるのは寂しいから」 ということで、関係を継続することは可能だったかもしれません。

でも、人生の次のステージを共に創る喜びもなく、彼のコミットメントのなさに不満だけが大きくなっていくという状態の中で、マイナスのスパイラルに入るのを食い止めるには、【そこから出る】ことが必要だったのでしょう。

B氏の変化

さて、それに対してB氏は、後でわかったことですが、B氏は、本当は好きだった女性から一番されたくないこと、「捨てられる」体験をして、目が覚めたと言います。

もちろん、その直後の心の状態は、怒り狂い、荒れていました。心の穴を埋めるために、そして、悔しさもあって、2年間くらい、オンラインサービスを使って、片っ端からいろんな女性に会ったようです。

しかし、そんなことをしながらも、B氏は、次第に自分自身と深く向き合って行ったようです。

心のケアのサポートを通して、

自分の幼い頃からの体験、「自分は無視されて、捨てられた」だから「自分は価値のない存在だ」という信念を刻むことになった体験を、本来の自分、つまり、自分の魂の波動で書き直す、というようなワークに集中的に取り組みました。

そして、瞑想も実践し、自分の核は何か、それを見つめ、それを感じるようにしました。

自分の中の癒されていない部分と向き合うプロセスは、決して楽ではなかったようです。

でも、次第に、自信のなさがいつもどこかにあった状態から、自分自身に対する感じ方が変化していきました。そして、いつしか、彼の中から、母親に対する怒りが消えているのに気づきます。

以前は、母親が自分にしたこと、しなかったことを考えると、【怒り】で狂いそうになったと言います。

でも、いつか、それまで、「これが自分だ」と思っていたのは、出来事に自動的に反応している部分に過ぎなかったということに気づいたといいます。

彼が変化し出すと、以前は彼の弱さを握って彼の感情を支配していた母親が、あの手この手で彼の注意を引こうとして来ました。

彼が彼女の家に行かないことがあると、急に「心臓がパクパク」し出します。足を怪我したので、買い物に行けなくなります。。

B氏は、そんな反応のパターンを、ちょっと離れた所から観察することができるようになりました。母親を変えることはできないけれど、自分自身の反応を変えることはできます。

そして、出来事に対する自分自身の反応を変えて、人生を自分が主人公になって生きることは、可能です。

B氏は、それでも、長い間、昔のクセが出て、心の中の「怖れ」で反応している自分に気づくことがあったといいます。

気づいたら、それをただ観察するという実践を継続して行ったと言います。

3)再会と新たな出発

二人が別れて、4年後に、何かのキッカケで二人は再会したらしいのですが、その時、二人は、全く別のレベルでつながり合いました。

Aさんも頑張って、キャリアになる仕事を見つけて自分の生活を立て直していました。

Aさんにとって、B氏の変化はとても大きく感じられたようです。何か、自然体でいて、それでいて、自分に自信がある。。前よりもずっと魅力を感じたと言います。

二人は、どっぷりずっと一緒に暮らすというよりも、それぞれの生活パターンを尊重して、それぞれ自立して自分のスペースを持ちながら、互いにチカラになり合う関係を深めつつあると言います。

時間はかかりましたが、それぞれが一人になって自分の課題に取り組んで、本当の自分を取り戻す過程を経て、改めて別のレベルで再度つながり合った。。そんな稀なケースかもしれません。

3.【共依存】のメカニズムとそこから抜け出るカギ

ここまで、AさんとB氏の例をみながら、【共依存】関係がどのようなメカニズムで作られるか、そこから抜け出る為のカギになることはなにか、ということを考えてきました。

ここでは、上の例をまとめながら、【真のパートナーシップ】に基づく関係を築くために必要なことについて、私の考えをシェアしたいと思います。

1)【真のパートナーシップでない】関係とは

【真のパートナーシップではない】関係は、一言で言うと、

「弱さ」や「怖れ」でつながりあって、魂の成長や進化を停滞させる関係

だと言うことができるかなと思います。

自分の弱さや怖れに向かい合う代わりに、それにフタしたままで、自分の癒されていない部分を補う為に、他者に依存し合う関係です。

その関係では、大抵、自分が満たされていないものや、自分の癒されていない部分の補填を、他者に求めます。

そして、それが得られないと、他者を責め始めるというパターンが一般的です。

だから、この関係の行き着く先は、マイナスのスパイラルで、下向きになって行くのが宿命です。

「下向き」というのは、成長しない関係、高め合えない関係ということです。

AさんとB氏の例では、B氏とお母さんの関係が、典型的な依存関係でした。

お母さんは、長男を失った悲しみと、夫との機能不全な関係から来る心の空洞を、B氏によって埋めようとしました。

その際に使ったのが、彼女の経済力です。

お母さんは、彼の強さを観て信頼して、彼が自立するように促す代わりに、彼が経済的に自立しなくても生きて行けるように、サポートし続けました。それと同時に、自分と一緒に住んで自分の寂しさを満たしてくれる存在として、精神的に依存していました。

B氏も、それに甘んじて、内側には自信のなさを抱えながら、付き合った彼女から、問題を指摘されると、怒りで反応して、すぐに別れるということを繰り返していました。B氏は、そうやって、課題に蓋をしたまま、長い間、お母さんとの完全な共依存関係にありました。

その中にいると心地良いので、気づく必要もありません。B氏がそれに気がつき出したのは、Aさんと出会ってからです。

気づいたとは言っても、長年の怖れに根ざしたパターンは、なかなか変化しません。

内なる怖れの矛先はAさんに向かって行ったので、けんかも多かったようです。

でも、「幸いなことに」、Aさんが困難に直面したことで、いろんな問題が表面化してきたわけです。

Aさんは、自分の弱さ、寂しさから、B氏とズルズルと関係を続けることもできたかもしれません。

でも、それではなく、一人で寂しいけれど、自分で自立していく途を選択しました。

これが、一つ方向を決めました。

一人が、自分の真実に従って選択すると、その人との関係にあるもう一人は、

  • 従来のままでいるか
  • 変わって成長するか

 という選択に迫られます。

2)変化:男性エネルギーと女性エネルギーの統合

別れた後の生活は、AさんにとってもB氏にとっても、きついものだったようです。

B氏の変化

Aさんに「捨てられた」後のB氏は、怒り猛り、落ち込む時期を経て、本来の自分(魂としての自分)を見つめることから始め、自分の弱さや心の傷を認めて、ありのまま受けとめ始めました。

この「自分をありのままに観て受けとめる」というのは、実は、彼の中の「女性エネルギー」を培う実践になっていたのです。

それによって、彼の中で抑圧していた女性エネルギーを解放することで、逆に、「サヌキメッキ」でなはい、本当の意味での男性エネルギーが活性化して行ったのです。

以前は出来事に自動的に「反応」することがほとんどで、一時は、母親に対する反抗少年に逆戻りまでした状態だったのが、次第に、自分のコアとつながる感覚を得て、出来事を「観察」する静かな自分を感じ始めたということです。

Aさんの変化

一方、Aさんは、経済的な自立の為に行動して自分の能力を使うことで現実化・物質化するチカラを養っていきました。

彼女は、自分の中の男性エネルギーを培っていたということです。

二人のケースが上手く行った理由

AさんもB氏も、自分の中の男性エネルギーと女性エネルギーのバランスを取って、統合していく方向に歩み始めたということです。

それぞれが、自分の弱い部分を他者に依存することによって満たそうとする代わりに、紆余曲折を経ながらも、自分自身が自分らしく自立して行く方向に進んでいきました。

自分らしく自立していく方向は「真の自己」を回復する方向で、それは、人生のプロセスで継続していくものですが、

互いが成長する方向にベクトルの向きを変えたこと

これが大きいのです。

Aさんの勇気ある一歩がB氏が変わるキッカケになり、それぞれが、自分の内の両極のエネルギーを調和させて、自立して自分の人生を歩き始めた時、互いにとってチカラになり合う、ウィンウィンの関係を作り始める土台ができたということですね。

もちろん、完璧なカップルなど存在しません。

でも、自分自身のコアとつながり、互いの成長を促す関係は、きっと楽しいものになることでしょう。

3)自分のコアとつながる

さて。。この二人は、それぞれ直観的に自分のやり方で、女性エネルギー、男性エネルギーを培って、自分の内に統合していきました。

これが、二人が「共依存」の関係に陥るのを免れたカギだと言えます。

特に、B氏にとって、母親との関係で劇的な変化をもたらしたのは、「自分のコア」の気づき、「真の自己」の気づきでした。

それが「共依存」から抜け出る大きなカギだったと言えるのです。

では、この「自分のコア」とつながる、ということ。。

これはどういうことで、どんな作用をもたらすものなのでしょうか?

これは、ルミナクリエイションの追求している中心的なテーマですが、これについてお話し出すと、また長くなるので、続きは、こちらのブログ:「真のパートナーシップ」を築く為に必要なこと をご覧ください。

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