家族継承のカルマを解消するー祖先に捧げる祈り

ビジネスでも人生でも、「いくら努力しても、なぜか不幸が続く、どうしてもうまく行かない」という場合、【祖先のカルマ】つまり、祖先が行ったことや体験が癒されずに「家族の集合無意識」に存在している可能性が大きいです。世界中の祭祀を研究して、祖先からの問題を修復する為に、現代人でも実践できる「祖先の癒し」の方法をまとめたDaniel Foor博士が、彼の著書(英文)で述べることのほんの一部を紹介します。

死者とこの世に生きる者は互いに影響しあう

祖先(死者達)とこの世に生きる者達は、互いに影響を及ぼし合います。違いは、その影響が意識にのぼるものであれ無意識のものか、或いは、それが有益なものか害を及ぼすものかということだけです。

世界中の多くの祭祀は、生きている者と死者との間で、ポジティブな関係を維持することを意図したものです。

世界各地の祖先祭祀を研究して祖先からの問題を修復する為に、祖先の癒しを現代人でも実践できる方法にまとめたDaniel Foor博士によれば、家族が亡くなったからと言って、故人は自動的に「祖先になる」わけではないということです。

死者の魂も、人間と同じように、意識のレベルが愛に満ち、賢く、鼓舞されるような存在から、危険な悪意を持つ存在まで、様々です。私達は、死者も意識のレベルが多様に異なるということを見極めないと、祖先を一概に、怖く危険な存在か、愛と光の源泉の理想化した姿として見るという、極端にどちらかにみるという間違いを冒すことになると言います。

Foor氏によれば、「祖先」とは、スピリットとしては良い状態の魂で、それは獲得した地位なのです。それと対称的なのが、亡霊、問題のある死者で、彼らは祖先としては見做されないと言います。そのような死者は、愛の光の領域に入ることができない存在で、此の世と祖先の領域の間を往き来している霊です。

ただし、地球での人生で非常に問題があったとしても、死後に浄化や鍛錬や、成長のプロセスを経て、変化することがいくらでもあるということが強調されています。(Foor, 2017, pp. 26-27)

健康的な祖先の影響

最も基本的なレベルで、健康的な祖先は、健康、繁栄、場所と文化に根付くことという引き継ぎ(レガシー)を作ります。生きている間に親切と高潔さを体現した祖先は、生きている親族にとって鼓舞と動機の源となります。また、愛に満ちた死者は、子孫がそれを意識しているかどうかに拘わらず、子孫を導き、引き上げ、守る為に働くことができます。

強くて明るいスピリットの祖先は、世代間に継承された困難な重荷を変容させ、それを終わらせることを求める生きた家族のメンバーの為の、ベストなガイドやパートナーです。私達は、この世における彼らの目であり手なのです。そして、彼らは良い結果をもたらす為に深く精力をつぎ込んでいます。

いいスピリットの状態の祖先は、出産や結婚、そして死んで祖先に戻るというような重要な出来事に際して、追加的な祝福をもたらしてくれます。

要するに、愛に満ちた祖先の積極的なサポートを享受する時、 より一層高いレベルの幸運や容易さや活力によって、人生はもっとスムーズに進むのです。

この世に生きる者からの影響

逆に、この世にいる私達も祖先に益をもたらすことができます。

彼らは食べる必要があります。彼らのことを良く言い、心のこもったお供え物を通して彼らに食べ物を提供すると、彼らは心の糧と想い出の喜びを受取ります。

私達が世代間に継承された問題を癒し、健康な家族をサポートし、良き道義正しい人としてこの世を生きる時、私達は、祖先に誇りと喜びをもたらします。

最近死んだ者にとって、この世での死は通過儀礼の始まりに過ぎません。この旅は、祖先のランクに彼らが完全に加わることで完結します。生きている者は、この変容にとって重要な役を担うことができるのです。私達が、最近の死者や、スピリットとして良い状態でない死者を助ける時、私達は、祖先の変更をサポートすることになります。

一般に、健康な家族、子供達、地球の人類の未来を励ますことは、祖先の中に、ポジティブな形での反響をもたらします。

平和な心でない死者の影響

それでは、まだ平和な状態に達していない死者についてはどうでしょう?祖先が良いスピリットの状態ではない場合、生きている側の老年者は身体的に心理的に良い状態ではないかもしれません、そしてそれは次の世代にも言えるかもしれません。

それがどのような形で表れるかというと、病気、依存症、身体的精神的虐待、孤立、貧困、早死などの継承(レガシー)が含まれます。最近亡くなった祖先による破壊的な行動は、ある種の祖先ののろい,世代間に継承される抑圧的カルマ、はびこる不運として機能して、何世代にもわたって生まれ来る家族を通じて繰り返されるということが起こり得ます。

生きている家族のメンバーは祖先の問題からは下流に位置していますが、生きた人達によって取られる(或いは避けられる)行為は祖先に害をもたらし得ます。

多くのタイプの関係でもそうですが、生きている人が祖先に害を及ぼすことで最も一般的なことは、祖先とのつながりに対する基本的な尊敬を示さないことです。多くの現代の共同体は、祖先の存在を拒否したり、祖先との関係を切ってしまうことがあります。このような思慮のなさは、家族、遺産そして文化との関係を忘れ去ってしまう、祖先の忘却として機能します。

私達が自分がどこから来たのかを忘れるとき、家族の重荷について誰も私達に警告しないからという理由で、私達は、世代間に継承する良くないパターンを演じ、強化しているのが常です。

家系に沿って継承されている問題を癒す為に祖先は私達を見ているので、彼らが喜んで癒そうとする気持ちにならないと、問題を修復する際に、彼らがその役割を遂行してくれるのを妨げることになります。

古く、害のあるパターンが繰り返されると、祖先も私達と一緒に、行き詰まり状態になったままの状態になり得るのです。死んだ家族のメンバーに対する思慮の欠如によって、またその家族が光のレベルに高まって祖先達の所に到着することができなくなることにもなります。

更に、生きている人達は、墓場、祖先の聖地(霊場)、聖域などの、祖先にとって大切な場所を汚す時、死者の混乱や分裂を引き起こすことになります。

死者の波動を引き上げる2つの方法

死者を引き上げるということは、死者を空間上の上(例えば天国)に引き上げるということを意味するわけではありません。それは、彼らの意識や波動を引き上げるということを意味します。

一般に、この変化は、怖れや制限や混乱といった重い状態から、愛、拡がり、明晰さといったより波動の高い状態への変化を示します。だから、祭祀は、それらのスピリットの場所の移動というよりも、死者の内的な、霊的な状態を改善することを焦点にします。成功を何で測るかというと、新しく祖先となる人がより高次の波動の状態で安定することができているということです。

それでは、死んだ人の波動を如何に引き上げることができるのでしょうか?

その方法は、死者は物理的な身体による制限がないということ以外は、生きている人とのワークとそれほど異なりません。むしろ、死者は物理的な身体の制限がないので、状態をずっと簡単に変化させることができるのです。

何年ものセラピーや深いレベルの癒しや、気づきによる変容や成長の1ヶ月によって、生きた個人はより軽く感じることができたり、より偉大な存在を感じることができたりします。一方、このような大きな変化は、死者にとっては、ほんの何日か間に起きたり、一つの祭祀のプロセスで起こることが可能です。

死者はエネルギー体(身体を通して表現された意識というよりも)なので、愛、光、赦しや、他の癒しのエネルギーは、移行過程にある魂の状態に対して、相当な変化を生むことができます。このタイプの介入は、祖先のガイド、信頼できる神、その他の賢く助けになるチカラによって指導されることが、理想です。

死者のスピリットを高める9日間の祈り

キューバやアメリカの他の地域で実践されるように、Ifa/Orisa のLucumi 派の実践者は、死者のスピリットを高める為の祭祀を9日間執り行います。このプロセスは「祖先」になれないでいる死者達と直接コンタクトする必要がないので、ある人が死んだ後に、愛豊かな祖先の領域にまだ到達していないとあなたが感じたとき、比較的安全に行うことができるものです。

祭祀は以下のものを含みます。

死者の幸せを願う心のこもった祈り、死者の魂が次第に上昇するのを象徴的に示すもの、自然の要素(例えば、火、水、食べ物(土)、祈り(風))とのワーク、重いエネルギーの優しい浄化。

具体的なやり方は以下です。

あなたの祖先の祭壇、或いは、他の清潔で守られた祭祀スペースに、対象としている祖先を表す何かを置きます(例えば、写真や、彼らの人生からの何かの物)。その近くに、グラスに入れたクリーンな水と、白いろうそく、食べ物又は、この祖先が喜ぶ飲み物、そしてその他の心のこもった供え物を置きます。

9日間、少なくとも、一日に一回、ろうそくを灯して、少なくとも数分間、心からの祈りを捧げます。祈りは、 祖先の幸せと癒し、波動が高められることを願い、可能であれば声を出して祈ります。

自発的な祈りに加えて、マントラを唱える、ローザリーで祈る、この祖先の為に聖典からの言葉を唱える等の、典礼の祈りを含めることもできます。

「赦し」の祈りを捧げる

祖先の波動を上げる方法の二つ目は、「赦し」の祈りを捧げることです。「赦し」は、故人や祖先の波動を上げて、生きている者も故人も、互いを自由にするパワフルな方法です。

「赦し」とは、実際に傷つけられた経験、或いは、傷付けられたと自分が感じている過去の経験を、完了すること、解決することです。

「赦し」は、物事をありのまま受け容れる時に可能になります。ただ、それは、それを認める(合意する)ということと同じではありませんし、また、将来に同じようなことが起こるのを防ぐ必要がないということも意味しません。それは、起こったことを直視することが必要になるということです。

人々を「赦す」ことは、その人達との関係を持つということを意味するのではありません。むしろそれは、波動のレベルで、不健康な執着を終えるのを促すものです。

つまり、「赦し」は、【私達の心を自由にする】ものなのです。

そして、自分のエネルギー体に絡む他者のエネルギーを自由にします。

他者のエネルギーを解くことによって、自分のエネルギー体を本来の自分自身のものに回復することができます。

私達は、他者との関係で生まれた重い波動を自分から解放することによって、自分の人生を、自分の責任において、生きていくことができるのです。

私は、これが、【自由】の基礎だと思います。

「赦し」は、私達が真に自由に、自分の人生に責任を持って生きる上でのパワフルなプロセスなのです。

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もしかするとあなたは、「自分は誰も傷つけたことがない」、或いは、「傷ついたことは全て赦したから、もう誰も赦す必要がない」と思われるかもしれません。

でも、意図するしないにかかわらず、また、私達が記憶しているしていないに拘わらず、そして、今生だけでなく過去生も含めて考えると、人として生きる限り、誰かを傷つけてしまっている可能性は、大きいです。

また、自分でも意識にのぼらないレベルで心の奥にわだかまりをもっていることがあるかもしれません。

実は、「赦し」は、自分の今回の生まれ変わりだけでなく、自分の過去生や、今回生まれた家族や家族の故人、そして、今生の自分の祖先や会ったこともない親戚にも癒しをもたらすことのできる、安全でパワフルな方法なのです。

一言で言えば、それは、今生の祖先や家族に癒しをもたらし、家系のネガティブな波動を引き上げる・・そんな効果をもつのです。

その具体的なやり方は、「ヒーリングコーチ養成プログラム」でお伝えしています。

※参考文献:Foor, Daniel.  “Ancestral Medicine.” Vermont: Bear & Company, 2017, pp. 28-31, 151-154.

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