世代間に継承されたトラウマを解消する方法について、前のブログの続きです。今日は思い切ってまとめてお話しします。少し長くなりますが、どうぞお付き合いくださいね。
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親である私達は、自分が経験した苦労や、自分の心の傷は、子供達には引き継がせたくない、という想いを持っていますよね。
「たとえ、 自分は親にひどい扱いをされて、十分愛されなかったとしても、子供達には自分と同じ思いをさせたくない・・・」私達の誰もがそう思っていると思います。
自分なりに懸命に子供達を育てて来た。子供達の幸せの為に、自分なりにベストを尽くして来た。でもなぜか・・・子供達が幸せな人生を歩んでいない。自分が経たのと同じような状況に苦しんでいる。。或いは、子供達との関係すら、思い描いていたようなものとほど遠い、冷たいものになっている。。
このような現実に直面して、心を痛めながらも、どうすればいいかもわからず立ち尽くしてしまう。。これは私達の多くが体験していることかもしれません。
でもその状況を変える方法があるのです。
「生命の流れ」を遮らない
その方法の第一は、産みの親から子供へと流れる「生命の流れ」を遮らないことです。これについては、前のブログで少しお話ししましたね。
親がひどい虐待をして来て、暴力的で、やくざがらみで・・・と、苦しみしかもたらさない親でも、どんな親でも、親は親だ、ということ。。家族の集合無意識のレベルでは、生命の流れをチャネルする
なくてはならない存在だということです。
「そうかもしれないと、頭では思うけれど、でも、あんな親に心を開くことなど不可能だ。」そんな風に感じられるかもしれません。そんな時、その「ひどい親」も、「家族システム」という大きなレベルから俯瞰してみると、腑に落ちることがあるかもしれません。
というのは、前のメルマガでも書き始めたように、「家族の集合無意識」というものがあって、一定の法則によって、家族のメンバー個々人を強力に支配しているのです。
「家族の集合無意識」の法則から理解する
もしかすると、その「ひどい親」も、自分の意志とは裏腹に、その前の世代から受け継がれたパターンを繰り返してしまうことに抗えなかった、ということかもしれないのです。
実際、この「家族の集合的無意識」というものの働きを理解すると、いろんな不可解なことが腑に落ちます。例えば、家族の集合的無意識は、親やパートナーとの関係で、私達が拒否したり、闇に葬ろうとするものを次の世代で見せようとします。
Aさんの例
Aさん(男性)の祖母は、自分の夫がアル中で「役立たず」なので離婚し、苦労して息子(Aさんの父親)を育てました。息子(Aさんの父親)にも、如何に前夫(Aさんの祖父)がひどい男か、という話をして、息子(Aさんの父親)が会ったりつながりを作ることも反対でした。
そのような場合、つながりを拒否された息子(Aさんの父親)は、無意識的に自分の父親と似ることで、父親との繋がりを作って行くということが、多くのケースで見られるようです。
Aさんの父親は、同じようにアル中で、役立たずの夫にで、Aさんのお母さんは、いつも愚痴をAさんに言っていました。そして、Aさんのお母さんは、とうとう、アル中で役立たずの夫と離婚しました。
Aさんのお母さんは、アル中で役立たずの前夫の悪い影響を息子が受けるのを懸念して、Aさんが前夫(Aさんの父親)と会ったり、つながりを作るのを好ましく思いませんでした。
Aさんは、寂しい思いを抱きながらも、母親を苦労させる父親はひどい人だと思い、そんな父親を許せず、もう10年も会っていません。ところが、自分もアルコールが離せなくなって、父親と同じような行動をしているのです!
Aさんの祖母が拒否した前夫の特徴は、Aさんの父親に引き継がれ、Aさんの母親が拒否したAさんの父親の特徴は、いまや、Aさんにも引き継がれようとしています。
Aさんが、祖父母の世代からのパターンをみたとき、そして、家族の無意識の働きがどんな特徴があるかを理解したとき、ひどい人で許せないと思っていた父親に対する見方が、大きく変化しました。その理解は、Aさんの内で、何か長年の「しこり」を溶かしてくれたように感じたといいます。長年父親を拒否していた心がやわらいで、和解のインナーワークも抵抗なく行えるようになりました。
「家族の集合無意識」の働き、法則
個人レベルの私達の潜在意識は、認められなかったり、無視されたり、拒否されたり、否定されたり、闇に葬られたりした部分があると・・・私達がそんな部分を全て、自分の一部として受け入れて認めるまで・・・心身症状として現われたり、無意識的に特定の反応をしたり、ある内的言語を繰り返したり、私達が拒絶したり傷つけられて見たくないものを、人間関係のなかで映し出して問題を引き起こしたりして・・・そんな潜在意識の部分に、私達が気づくように促します。
そして、それは、家族の集合無意識でも同じなんです!20-30人くらいが一単位になる点が違うだけで、原理は非常に似ています。
【闇の部分、傷ついた部分を全て、光の下にさらして、認めること】
家族の集合無意識は、まずはこれを求めているということです。それによって、家族システム内の調和をもたらそうとしているようです。
私達が親を拒絶したら、人生に恩恵をもたらす「生命の流れ」が堰き止められることで、私達が受け取る人生の恩恵の絶対量も少なくなります。だから、次世代に流してあげられる人生の恩恵の絶対量も少なくなります。
そして、それだけでなく、怒りや心の痛みから、親を拒絶したり、
過去の辛い経験を闇に葬ろうとしても、いや、そうすればするほど、怒りや、怖れや、悲しみや、断絶は、気づかないまま、子供の世代に繰り返し起こっていくのです。
というのは、私達、親の世代が解決することのできなかった問題は、家族の集合無意識の働きによって、子供や孫の世代に持ち越されるからです。
次の世代への苦しみや不幸の連鎖を断ち切る方法は、家族システムの内の、傷ついた部分を認めて、ありのままに受け入れることです。
そして、そのプロセスは、例えば、憎いとしか思えなかった親と和解することから始まります。それが第一の基礎なのです。それは親が生きていても死んでいても可能です。
このことは、私達が、愛する子供達の為にできる、一番大切なことかもしれません。
ファミリーコンステレーションのコア言語メソッドと、アマナの根源エナジーワークは、そのプロセスを優しく、そして効果的にお手伝いします。