道ばたに落ちている一つの石ころでも・・

私が観るいろんな映画の中でも、フェリーニ監督の「道」(1954)という映画のなかに、いつ見ても胸の奥から涙が込み上げて止まらない1シーンがある。それは、旅芸人の座長に買い取られたジェルソミーナが、その夫(ザンパノ)から叱られ、殴られ、女性としても扱われることなく、夜は他の女と遊ぶ夫に待ちぼうけを食らう。。

そんな日々のある夜、「自分は本当に何の取り柄もない、役立たずの人間だ」と、旅芸人の荷車で一人悲しむ彼女を訪れた旅芸人一座の仲間であった男が、一つの石ころを拾って見せながら、彼女にこう言うシーンがある。

「どんな人でも誰かの役に立ってるんだよ。役に立たないものなどこの世にはないんだ。ほら、この石ころだって、世界でたった一つしかない、大切な目的があるんだよ。」

その言葉を聞いたジェルソミーナの顔が、みるみる明るくなる。「こんな 取り得のない自分でも、ザンパノの役に立っているのかもしれない」という気づきで。。

このシーンだ。何度見ても、心の奥底から、涙が溢れ出て止まらなくなるのだ。

ジェルソミーナは、翌日から、何か自分のミッションを発見したかのように、夫が相変わらず無愛想で怒りっぽくても、明るい気持ちで自分に出来ることを一生懸命やりはじめる。

 「道ばたに落ちているありふれた石ころにさえも、世界でたった一つの大切な目的がある。。」

この言葉に私の魂はなぜこのように反応するのか。それは、このメッセージが、若い時から、自分の生きる意味を実現することだけを求めて生きてきた、自分自身へのメッセージでもあるからだと思う。

「こんな私にでも、世界でただ一つの、大切な目的が何かあるんだ」ということ。。そして、「こんな私でも、どうか人の役に立つ仕事ができますように」という、生涯かけての祈りに共鳴するから。。なぜ涙か。それは自分の持つ潜在力、ギフトを活かして、他者に役立つ仕事をして生きるということへの、生涯かけた切なる願いと、未だフルに活かしきれないでいる悲しみの涙かもしれない。

ところで、NLPの創始者の一人であるジョン・グリンダー博士が、「ニューコード」NLP を創られた理由は、マインドが設定したゴールを達成した幸せであるはずの人々が、多くの場合、必ずしも「幸せ」でないことに気づいたからだという。

表面的には成功しているように見える人々が、「本当の幸せ感」「深く満ち足りた感覚」が得られなかったり、目的達成の努力が辛いものに感じられたりすることが多くあるということに疑問を持たれたということだ。それで、潜在意識との良好なパートナーシップを作るスキルを開発され、それを「ニューコード」とされた。

グリンダー博士は、スピリチュアルという言葉を一切使わず、むしろ「スピリチュアルは嫌い」だと公言されているようで、彼にとっての「潜在意識」とは何なのか、私にははっきりわからない。

しかし、どちらにしても、人が「本当の喜び」を感じることが出来るためには、「内なる存在の声」 に耳を傾けなければいけない、という点は明確だ。

そして、その声に耳を傾けて選択して生きる道は、一般の常識からみて、所謂「成功の道」とは異なっていたとしても、「これが自分の進むべき道、「魂の使命を成就する道だ」と、心の奥にいる内なる存在は、「喜び」とかの「幸せシグナル」を送ってくれる。

例えば、一見恵まれている状況にいる人が「不幸感」「満たされなさ」を持って自分の生き方を追求し出すと、他人から、「あんたは贅沢や」とか、いろいろ非難されたりすることがあるかもしれない。また、自分の魂に正直に生きて、困難を経験しても、「自分の好きにした結果でしょ」と、突き放されることさえあるかもしれない。

私は、他者や社会が作る「理想の在り方」に合わせて、本来の自分らしさを押し殺して生きるより、自分の魂に正直に、本当の心からの願いに耳を傾けて生きたい、そう思って一歩を踏み出す人々に、心からの応援を捧げたい。そして、そのような方をサポートすることに、深い情熱を感じる。

なぜなら、私自身、「魂の使命」「生まれた目的」を知る、そしてそれを生きる、ということに突き動かされて生きてきたから。今思うと、実は「それに関する仕事」が、私自身の魂の目的であるということのシグナルだったのかもしれない。

過去学んで来たこと、様々なスキル、知識、経験の全てを、この一点、人々が自分の魂の使命に気づいて、自分の内なる根源と繋がり、使命を成就する道を見いだしていく為のサポートに、統合すること。

そして、この世界が、それぞれのユニークさを活かした多様な花が違いを尊重して、それぞれ美しく調和の中に咲きほこる。。そんな世界になるために、こんな私でも、少しでもできることをして、最後まで頑張って生きたいと思っている。

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