不幸の家族連鎖の謎:魂のもつれ

原因不明の不幸が、直系の家族だけでなく親族のなかで起こることに気づいた時、私達は、「カルマ」や「先祖の因縁」という言葉での説明になんとなく納得して、自分ではどうしようもないものだと思ってしまうのが一般的だと思います。

「ファミリーコンステレーション」と呼ばれる心理療法創始者である、ドイツ人のバート・へリンガーは、それを「魂のもつれ」という表現で説明しています。

「魂のもつれ」とは、世代を超えて、家族の集団的無意識(家族の「集合無意識」)による「愛の秩序」の法則が作用するものです。まずは、それがどんな形で現れるか、極端な一例ですが、へリンガーの本から紹介しますね。へリンガーを訪れたある弁護士 のお話しだそうです。

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この弁護士は、自分の家系で起こったことを調査して尋常でない事実を発見しました。この弁護士の曽祖母は、ある男に出会い恋におちたのですが、その時すでに彼女は結婚し、結婚相手との子供を身ごもっていました。彼女の夫は27才の時の12月31日に死亡しました。

その後、曽祖母は出会った男と結婚し、その男との間に一人の息子が生まれました。曽祖母は早死にした元夫の遺産を、元夫の子供には渡さず、再婚した相手との間に生まれた息子に全て与えました。

その時から、この家系内では、すでに3人の男が皆、27才で12月31日に自殺しており、この弁護士がへリンガーを訪れた時は、彼のいとこが27才になったばかりで、12月31日が近づいていました。彼は忠告するためにいとこの家に行ったのですが、いとこがすでに自殺するためにピストルを購入していたことを知りました。

後に、この弁護士はまたへリンガーのもとを訪れました。なぜなら、今度は彼の中に自殺願望があることを感じたからでした。へリンガーは、彼に、曽祖母の元夫を思いながら、その死者に向かって次のように言わせました。

「私はあなたを認めます。私の心の中にはあなたの居場所があります。私は不正が修復され癒されるよう、あなたに対して行われた不正を沈黙の中に葬ることはしません。」

それ以降、その弁護士はパニックに陥ることがなくなったとのことです。(へリンガー著『いのちの営み、ありのままに認めて』p. 21)

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これほど極端でなくても、何かの「不幸」の似たパターンが家族の中に見られると、おそらく「祖先の怨念」だろうと言われたりするかもしれません。そうして、ご先祖様にろうそくを立てて祈るとか、パワフルな神様にお願いするとか、高次の霊にその癒しと浄化を依頼すると思います。

へリンガーのファミリー・コンステレーションのアプローチが画期的なのは、そのような現象を、家族の集合無意識(彼は「集合的良心」と言います)によって説明していることです。

その集合的良心は、大体3世代くらいの家族の集合無意識で、家族の各メンバーは、死産、中絶でなくなった赤ちゃんや、犯罪や虐待、不義を犯した人も含めて、誰でも、その家族システムの中に独自の位置をそれぞれ持っていて、その家族システムに属する平等の権利があると捉えています。

もし、家族の内の誰でも、尊厳を否定されり、属する権利又は対等な地位を奪われて排除されたり、非難されたり、尊重されなかったり、忘れ去られたり、無視されたり、或いは、別の家族のメンバーのロスから益を得る、ということがあると、後の世代の誰かが、本人の無意識レベルで、そのような不正な対応を受けた家族と「同一化」することで、その家族メンバーの運命と同じような運命を繰り返す、ということです。

このように、ある人が無意識に、その存在も知らないのに、前世代にいた家族メンバーの運命を背負い、その人と同じような人生を生きてしまうことが起きるということを彼は「魂のもつれ」と呼んでいます。

へリンガーはこう言います。「私達の生命は両親からというよりも、両親を通してこの世に来る。生命は遙か彼方からやってくる。そして、私達は、両親に敬意を表し、両親を認め受け入れることによって、両親を通して、遙かかなたからやってくる恩恵を受け取る。」

へリンガーは、「原因不明」の心の病を含め、数多くのケースを観察し、「家族」のその恩恵が健康的な形で流れる為には、ある一定の原則が尊重される必要があるということを発見しました。

つまり、家族の集合無意識は、【愛の秩序】(=「4つの法則」)に従って、子孫に潜在意識レベルで強力に影響を及ぼすということなのです。

因みに、その法則とは以下のようなものです:

  1. 所属の法則:家族のメンバーは、誰でもその一員として所属する権利を無条件に持つ。
  2. ランクの法則:優先順位は生まれた順。
  3. ギブアンドテイクのバランス均衡化の法則。
  4. 運命の法則:誰も我みな、自分の運命を背負うことができるが、自分以外の人の運命は背負うことはできない。

そして、上に書いたような「魂のもつれ」が、どの家族の人生から起きているかを特定できた場合、その家族メンバーの困難な運命を認め尊重し、その家族メンバーに「真実の言葉」を伝えることによって、家族の集合無意識の中の「愛の秩序」が再構築されて、不幸の連鎖を断ち切ることが可能となる。。。

簡単に言うと、これがへリンガーのアプローチです。

祖先の怨霊とか悪い因縁だとかということで説明するのではなくて、家族の集合無意識が、自分の家族システムの中で

【無視されたり切り捨てられたりした部分(家族)を全て認めて愛しましょう〜!】と作用するということなのです。

実際、彼が使う方法で、子孫の長年の苦しみが一瞬にしてなくなった、良い変化が即座に起きた、ということが数多くあるようです。

それってどんな方法なのでしょう。それについては、次のブログで。。

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